Research Press Release
ナツメヤシの性別のゲノミクス
Nature Biotechnology
2011年5月30日
ハイスループットDNA塩基配列決定法により、ナツメヤシの性別に関係するゲノム領域が同定された。ナツメヤシ(デーツ)は中東や北アフリカの多くの国々で主要な食物となっており、この知見はその生産に重要な意味をもつ可能性がある。
ナツメヤシ(Phoenix dastylifera L.)は、経済的に最も重要な3種類のヤシ科木本植物の1つである(残る2つはアブラヤシとココヤシ)。世界では、約1億本のナツメヤシから毎年1500万トンの果実(デーツ)が生産されている。多くの植物とは違って、ナツメヤシは雌株、雄株が分かれている。しかし、ナツメヤシの苗を育てて、それが実をつける雌株なのか、実をつけない雄株なのかを判別するには、苗が成熟するまで少なくとも5年は待たなければならない。
J Malekたちは、ヤシ科の仲間としては初めて、ナツメヤシのゲノム概要配列を作成した。9種類の異なった変種に属するナツメヤシの雌株、雄株のゲノム塩基配列を比較することにより、性別に関連する配列が明らかになった。Malekたちは、ナツメヤシの性別の遺伝様式はヒトの場合と同様にXY型だと考えている。またMalekたちは、育種によって現在の最も優れた栽培品種の果実品質や熟成時期などを改良する際に役立ちそうな遺伝マーカーも同定した。
doi:10.1038/nbt.1860
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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