Research Press Release
【遺伝】マウスの網膜変性を抑制して失明を防ぐ方法
Nature Communications
2017年3月15日
網膜変性を防ぐためのゲノム編集法がマウスを使って実証された。これは、CRISPR/Cas9遺伝子治療法を用いた方法であり、失明の主な原因の1つである網膜色素変性症の背後にあるさまざまな遺伝的異常に対応できると考えられている。この研究成果を報じる論文が、今週掲載される。
網膜色素変性症は、桿体細胞と錐体細胞の両方が含まれる網膜の変性を特徴としているが、60種以上の遺伝子の変異が原因として関与しているため、それぞれの遺伝子を特異的に修正するために的を絞った治療法を開発することが難題になっている。網膜色素変性症の原因である遺伝子変異は、桿体細胞を死滅させ、その結果として錐体細胞も死滅し、失明が起こる。
今回、Zhijian Wuの研究チームは、網膜色素変性症の原因となる遺伝子変異を修正するのではなく、錐体細胞を保護する方法を検証した。Wuたちは、CRISPR/Cas9を用いて桿体細胞の性質を決める遺伝子を阻害し、桿体細胞が錐体細胞の特徴を備えるようにして、網膜色素変性症の原因となる遺伝子変異の有害な影響に耐えられるようにした。この治療法を3種類の網膜変性のマウスモデル(合計30匹)に適用したところ、網膜変性が抑制され、視力が改善した。以上の結果は、この方法が網膜変性疾患の治療に適している可能性があり、背後にある遺伝子変異と無関係に適用できる可能性のあることを示唆している。
doi:10.1038/ncomms14716
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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