Research Press Release
【化石】羽毛恐竜の軟組織の輪郭から解剖学的構造を明らかにする
Nature Communications
2017年3月1日
ジュラ紀後期の恐竜であるアンキオルニスに鳥のような前肢、脚、尾、趾蹠があったことを明らかにした論文が、今週掲載される。この研究で新たに行われた体形の再現は、これまで検出が難しかった軟組織の証拠に直接基づいている。
絶滅した脊椎動物(背骨を持つ動物)の体形の推定は、軟組織がほとんど保存されていないため、骨格構造と現生種との比較によって間接的に行わざるを得ないのが通例なのだが、そうした再現作業によっても本当の体形を把握できないことがある。今回、Xiaoli Wang、Michael Pittmanとその他の研究者からなるチームは、小型の羽毛恐竜アンキオルニスの体形について解明を進めるため、可視光では見えない軟組織の詳細が分かるレーザー励起蛍光画像法を用いてアンキオルニスの化石標本9点を検査した。この標本の軟組織の輪郭から、約1億6000万年前に生息していたアンキオルニスが、太鼓用バチの形をした脚など現生鳥類の特徴を数多く有していたことが明らかになった。
以上の新知見は、これまでのアンキオルニスの体形に関する推論をさらに進め、その体を細かく再現した。Wangたちは、今回の研究によってアンキオルニスが流線形の体をしていたかどうかを判定するための根拠が得られ、これによって飛翔の進化に関する手掛かりが得られる可能性があるという見方を示している。
doi:10.1038/ncomms14576
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:チンパンジーはアンドロイドからのあくびがうつることがあるScientific Reports
-
気候変動:干ばつの深刻化を招く要因の評価Nature
-
生物学:母親の鉄欠乏がマウスの雄の性決定に影響を及ぼすNature
-
気候:海と大気の相互作用が2023年の北大西洋熱波をもたらしたNature
-
天文学:天の川銀河はアンドロメダ銀河との衝突を回避できるかもしれないNature Astronomy
-
生体医工学:AIペンが筆跡からパーキンソン病を検出Nature Chemical Engineering