【気候科学】エルニーニョによる米国西海岸の侵食
Nature Communications
2017年2月15日
2015/2016年のエルニーニョ現象は、米国西海岸のかなりの部分で過去に例のない激しい侵食を発生させ、過去145年間で最も強力なエルニーニョ現象の1つとなったことを報告する論文が、今週掲載される。この論文の著者は、この極端なエルニーニョ現象によって今後何年にもわたって米国西海岸の砂浜の平衡状態が乱されるおそれのあることを指摘している。
エルニーニョ現象は、特に米国西海岸の沿岸部での暴風の増加、波のエネルギーの増加、深刻な海岸侵食と関連している。そうした極端な気候現象の発生頻度が今後上昇する可能性が高いという警告がなされているが、定量的な記録は極めて少なく、今後のエルニーニョ現象に備えるためのベンチマークはない。
今回、Patrick Barnardの研究チームは、2015/2016年のエルニーニョ現象が発生した際の米国カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの各州の沿岸部の29カ所の海岸における波の条件、水位、沿岸部の応答を分析した。Barnardたちは、海面水位の上昇と冬季の波エネルギーの増加が平常時の2倍に達し、その結果、通常の冬季の海岸線の後退を76%上回る海岸侵食が起こったことを明らかにした。そして、海岸堆積物の供給量が複数年にわたる干ばつによって抑制されたカリフォルニア州の海岸の大半で、20年前に沿岸の海面水位の記録を取り始めてから最大規模の海岸線後退があったことも分かった。
Barnardたちは、今回の研究で得られた知見がこれらの沿岸地帯を占めるコミュニティーのための短期的、長期的な護岸計画に役立つと期待している。
doi:10.1038/NCOMMS14365
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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