天文学:天の川銀河系の外側で見つかった謎のX線フレア
Nature
2016年10月20日
天の川銀河の近傍にある銀河に2つの謎のX線フレア源(爆発的なX線バースト源)が新たに見つかり、それについて説明する論文が、今週掲載される。これらのX線フレア源の性質は明らかでないが、この論文では、これらのX線フレア源が天の川銀河の既知の天体とは異なっており、古い星種族に位置していると考えられることが指摘されている。
今回の研究以前には、2つの非常に短時間の高光度X線フレアが銀河NGC 4697の近傍で2003年と2007年に検出されていた。今回、Jimmy Irwinたちは、チャンドラX線観測衛星による天の川銀河の近傍にある70の銀河のアーカイブデータを調べて、類似のX線フレアを探した。Irwinたちは、数千か所のX線点源を調べた結果、類似のX線フレア源を2つだけ同定した。そのうちの1つでは、フレアが一度起こり、もう1つでは、5回のフレアが起こった。Irwinたちは、全ての観測例で、フレアが立ち上がる時間が1分未満で、フレアの減衰に約1時間を要したことを明らかにした。Irwinたちは、これらのX線フレア源が、フレアを発生させる他の天体(例えば、ガンマ線バーストや超新星に関連する天体)とは異なり、フレアの過程で自己破壊しないことも指摘している。
これらのX線フレア源は、フレアを起こしていない時には、球状星団や楕円銀河の近くの超小型の矮小銀河で正常に降着していると考えられることが今回のIrwinたちのフレアの分析で示唆されている。
doi:10.1038/nature19822
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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