Research Press Release
カメレオンはねばねばした唾液で獲物を捉える
Nature Physics
2016年6月21日
カメレオンは、人間の唾液よりも粘性が約400倍高い粘液を舌から出し、この粘液によって、この捕食者が最大で体重の3分の1の獲物を捕獲する方法を説明できる可能性があることが、今週のオンライン版で報告される。今回の学際的研究は、実験データと力学モデルを組み合わせて、十分に強い粘着力が、カメレオンの舌と獲物をくっつけてうまく捕獲できる要因となっていることを示している。
カメレオンは、日和見的捕食者で、襲撃できる範囲内に活動的な獲物がいることを感知するまで、動かずに隠れている。カメレオンが舌を突き出す動作が、最大で体長の2倍離れた獲物まで届くことは、よく分かっている。しかし、舌を獲物に付着させる方法はまだよく分かっておらず、吸引や、獲物と舌の粗い表面に橋を架けてつなぐ機構など、いくつかのモデルが提案されている。
Pascal Dammanたちは今回、カメレオンの舌先に隠れた粘液の粘性を測定し、こうした別の要因がなくても、カメレオンの粘液の付着性で十分である可能性を示している。著者たちは、この測定結果に基づいて、舌が粘液の高い粘性を利用して、さまざまなカメレオン種の観察結果をしのぐ機構で獲物を捕獲する方法を記述するモデルを構築した。粘液の粘性が高く、獲物と舌の接触面積が大きいため、粘着力は捕獲される獲物のサイズを制限する要因とはならないと、著者たちは結論付けている。
doi:10.1038/nphys3795
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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