低炭素エネルギー政策の健康効果に関するシミュレーション
Nature Climate Change
2015年9月1日
再生可能発電プロジェクトと省エネ対策は年間数百万ドルの健康効果を生み出す可能性を秘めているという報告が、今週のオンライン版に掲載される。ただし、そうしたプロジェクトの価値は、プロジェクトの種類と立地条件によって大きく異なる。
低炭素エネルギー源を用いた発電とエネルギー需要の削減を行えば、化石燃料発電の必要性を減らし、亜酸化窒素、二酸化硫黄、二酸化炭素などの有害ガスの排出量を低減できる。今回、Jonathan Buonocoreたちは、2012年の米国の大西洋岸中部と五大湖南部における風力エネルギーと太陽エネルギーの各プロジェクトとエネルギー消費量の節減を目指した2つの戦略について、公衆衛生と気候にとっての利点の貨幣価値を算定するための評価方法を開発した。
全ての低炭素エネルギープロジェクトで温室効果ガスの排出量が減ったが、プロジェクトの立地によって結果に大きなばらつきがあった。また、低炭素発電の占める割合が最も大きい地域で健康と気候に対する恩恵が必ずしも最大でなかった点は注目に値する。例えば、シンシナティ近郊の風力発電施設による利益は、バージニア州の施設の2倍に達した。これは、シンシナティの人口密度の方が高いために、人間の健康に対する効果が増大化したことによる。一方、シンシナティ近郊の太陽光発電施設による利益はシカゴ近郊の施設のほぼ3倍だった。これは、石炭消費量の節減効果がはるかに大きかったために二酸化硫黄の排出量が多く削減されたことによる。
Buonocoreたちは、こうした戦略を実施することによってもたらされる利益が、プロジェクトの種類と立地条件に応じて、年間570万~2億1000万ドル(約6.8~250億円)にのぼると結論づけ、今回開発された評価方法を利用すれば、米国各地で実施すべきエネルギー政策と環境政策を選定できるようになるという考え方を示している。
doi:10.1038/nclimate2771
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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