注目の論文
【生態学】ドードーの知られざる生活史
Scientific Reports
2017年8月25日
Ecology: The secret life of dodos
絶滅したドードーの生活史を明らかにする新たな手掛かりを示した論文が、今週に掲載される。
今回、Delphine Angstたちの研究グループは、モーリシャスのさまざまな化石産地から産出した22羽のドードーの22点の骨の微細構造を調べて、ドードーの繁殖行動と成長、換羽(羽の生え変わり)の習性に関する新たな手掛かりを得た。研究対象となった骨試料のうちの数点は幼鳥のもので、Angstたちは、ドードーが性的成熟に達するまで急速に成長し、それから骨格が成熟するまでには数年を要したという見解を示している。
分析されたドードーの骨において広範なカルシウム再吸収が観察されたが、これが換羽を示す証拠である可能性があるとAngstたちは考えている。また、Angstたちは、換羽によって鳥類の外観が体色と羽の種類の点で著しく変化するため、いろいろな史料におけるドードーの記述に数多くの食い違いがあることの原因が換羽の習性だとする仮説を提起している。
今回の研究による新知見は、モーリシャスの現生鳥類の観察結果とドードーの歴史的記述と一致しており、Angstたちは、この新知見に基づいて、ドードーの繁殖期が雌の排卵とともに8月頃に始まり、孵化したヒナが急速に成長して南半球夏季とモーリシャスのサイクロン期(11~3月)の過酷な条件に耐えられる頑健な体形になるという仮説を示している。南半球夏季が終わると(3月頃に)換羽が始まり翼部と尾部の羽が最初に生え変わり、7月末には換羽が完了して次の繁殖期に間に合うようになっているというのだ。
doi: 10.1038/s41598-017-08536-3
注目の論文
-
4月25日
天体物理学:マグネターの巨大フレアという珍しい現象が観測されたNature
-
4月23日
天文学:人工知能が明らかにするブラックホール周辺に生じるフレアの3DモデルNature Astronomy
-
4月18日
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
4月18日
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
3月21日
環境:AIで洪水予報を改善するNature
-
3月20日
人工知能:AIを活用したサッカー戦術の向上Nature Communications