注目の論文
【老化】ヒトの臍帯血中のタンパク質によって老齢マウスの認知機能が高まった
Nature
2017年4月20日
Ageing: Human cord-blood protein enhances cognitive function in old mice
ヒトの臍帯血漿中に存在するタンパク質が老齢マウスの海馬を再び活性化して、認知機能を改善したという研究結果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。この発見は、老化する脳の変性を標的とする治療法の開発に役立つ可能性がある。
Tony Wyss-Corayたちの研究グループは、これまでの研究で、若齢マウスの血中因子を使うと老齢マウスにおける老化に伴う変化を阻害できることを明らかにしていた。今回、この研究グループは、これに似た効果がヒトの臍帯血漿にあることを実証し、この効果の原因としてTIMP2(組織メタロプロテアーゼ阻害物質2)というタンパク質を同定した。
TIMP2は、発生初期に自然に生じるタンパク質で、老齢マウスに注入すると脳内に出現した。TIMP2を注入された老齢マウスは、学習、記憶、シナプス可塑性(脳が変化して新しい情報に適応する能力)に関するさまざまな試験の成績が向上した。まとめると、今回の研究によって得られた知見は、発生初期に存在する全身性因子が老化した組織を再び活性化する上で役立ち、TIMP2とTIMP2が標的とする細胞が新薬開発にとって有用な標的となる可能性があることを示唆している。
doi: 10.1038/nature22067
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