カエルはシティーボーイのほうがモテる
Nature Ecology & Evolution
2018年12月11日
都会の環境に生息するトゥンガラガエルの雄は、鳴き声が複雑であるため、森林に生息する雄よりも雌を引き付けやすいことを示唆する論文が、今週掲載される。今回の知見はまた、都市部のカエルは、自然生息地のカエルよりも捕食者が少ないため、派手な鳴き声を好むことも示唆している。
自然界における人工的な環境の拡大は動物のコミュニケーションに問題を生じさせ、騒音や光害が視聴覚シグナルを妨害する場合がある。
Wouter Halfwerkたちは、都会での生活が雄のトゥンガラガエル(Physalaemus pustulosus)のシグナル伝達行動をどのように変化させたかを調査している。Halfwerkたちは、パナマ運河付近の都市部と森林の両方で、生息しているカエルの特徴的な「ガガッ」という鳴き声を録音した。その結果、都会の雄は森林の雄と比較して鳴く回数が多く、鳴き声がより複雑であることが明らかになった。実験室内でトゥンガラガエルの雌に向けて、都会の雄の鳴き声と森林の雄の鳴き声を再生したところ、雌の4分の3は複雑さに勝る都会の雄の鳴き声に引き付けられることが分かった。
都会のトゥンガラガエルを森林の生息地へ、森林のトゥンガラガエルを都会の生息地へそれぞれ移すと、都会のカエルは新たな環境で、鳴き声の複雑さを能動的に抑制できることが明らかになった。しかし、森林のカエルが都会の生息地で鳴き声を複雑化させることはなかった。Halfwerkたちは、都会の世界では耳をそばだてている捕食者が森林と比較して少ないために、鳴き声を捉えられるリスクが低く、進化によって鳴き声の高度な柔軟性が選択されたのではないかと考えている。
doi:10.1038/s41559-018-0751-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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