ネコのルーツ
Nature Ecology & Evolution
2017年6月20日
ネコはインターネットを席巻するはるか以前に(旧)世界を席巻した、という論文が、今週掲載される。中石器ルーマニアから20世紀アンゴラまで、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析した結果、新石器時代以降のネコの広がり、近東およびエジプトの集団によるイエネコ遺伝子プールへの寄与、ならびに中世のトラネコの起源が明らかにされた。
ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた。Eva-Maria Geiglたちは、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、考古学的、歴史的なネコの遺物からDNAを収集し、塩基配列の解読を行った。
その結果、2つの大きなネコ系統が現在のイエネコに寄与したことが分かった。その1つであるIV-Aは、まずアジア南西部に出現し、紀元前4400年には欧州へ広がった。それに対し、IV-Cと呼ばれるアフリカネコの系統はエジプトで主流となり、エジプトネコのミイラの多くを占めている。系統IV-Cは、その後紀元前1千年紀に、交易路に沿って地中海地方全域に広がったことが分かった(おそらく、船上の齧歯類駆除にネコが好適であったことがそれを促進したと考えられる)。そうした地に到達すると、持ち込まれたネコは現地の飼育ネコや野生ネコと交雑し、雑種が形成された。研究チームは、意外にも、トラネコの模様(特徴的な斑のある縞)に関係する劣性遺伝子変異が中世になって初めて出現し、まずはアジア南西部、次いで欧州およびアフリカの各地へ広がったことを指摘している。このことは、研究チームの結論によれば、最初のネコの飼養化では、観賞用形質ではなく行動形質が注目された可能性があることを示唆している。
doi:10.1038/s41559-017-0139
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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