動物行動学:鳥類の止まり木に止まる動作の最適化
Nature 607, 7917 doi: 10.1038/s41586-022-04861-4
高速での止まり木に止まる動作は、鳥類の飛翔行動の中でも最も困難なものの1つで、大半の自律型航空機の能力を超えている。より小型の鳥類は停空飛翔によって着地することがあるが、より大型の鳥類では急降下の後に上昇して止まるのが一般的である。これはおそらく、大型の鳥類ではスケーリングにより余力が減少するために停空飛翔ができないこと、そして、急降下後に上昇することで衝突前に運動エネルギーが位置エネルギーに変換されることが理由と考えられる。止まり木に止まるには速度と姿勢の正確な制御が必要であり、これはとりわけ、スケーリング則により衝突が特に危険となる大型の鳥類では重要である。しかし、渡りや日常的な移動などの巡航行動では輸送コストや飛翔時間を最小化するのが一般的であるのに対し、急降下と上昇の組み合わせという不安定な飛翔動作の最適化についてはほとんど研究されていない。今回我々は、モモアカノスリ(Parabuteo unicinctus)が止まり木に止まる際の急降下と上昇の軌跡が、時間もエネルギーも単独では最小化しておらず、失速後の飛翔距離を最小化していることを示す。1576回分の飛翔のモーションキャプチャーデータを飛行力学モデル化と組み合わせることにより、動力降下(羽ばたき降下)から無動力上昇(滑空上昇)への移行をどこで行うかという鳥の選択が、高い揚力係数を要する飛翔距離を最小化することが見いだされた。すなわち、時間とエネルギーは、例えば、非線形フィードバック制御や深層強化学習による自律的な動作の技術的実行のように直接最小化されるのではなく、止まり木まで安全に滑空するのに必要な制御権(control authority)を得るために使われている。飛翔に慣れていない幼鳥はこの行動をその場で学習しており、そのため今回の知見は、自律的に止まり木に止まる動作の強化学習を導く可能性のある試行錯誤的な原理の存在を示唆している。

