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生態学:スルホキサフロルへの曝露はマルハナバチの繁殖成功率を低下させる

Nature 561, 7721 |  Published: |  doi: 10.1038/s41586-018-0430-6


集約農業では現在、作物の収量を最大にするために農薬に依存している。ネオニコチノイド類は世界的に最も広く使用されている殺虫剤だが、重要な花粉媒介者などの標的外生物に悪影響を及ぼしていることを示す証拠が増えていることから、法的な再評価が行われ、代替製品を開発する需要が生じている。後継品として最も有望なのはスルホキシイミン系の殺虫剤で、世界各地の市場においてすでに使用が認可されているか認可が検討されており、そうした市場には、現在、特定のネオニコチノイド類(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)の常設の温室以外での農業利用が禁止されている欧州連合(EU)内の市場も含まれる。スルホキシイミン系農薬が花粉媒介者に及ぼす亜致死性の影響は、標準的な生態毒性評価で検出されることはまれだが、より大きな生態学的規模で重大な影響を及ぼす可能性があるため、そうした潜在的な亜致死性影響の先制的な評価が急務となっている。今回我々は、スルホキシイミン系殺虫剤スルホキサフロルへの慢性的曝露が、噴霧後の野外曝露と同等の曝露量で、セイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris)のコロニーに深刻な亜致死性の影響を及ぼすことを明らかにする。成長初期にスルホキサフロルにさらされた野外コロニーでは、曝露のない対照コロニーよりも、生産されるワーカーの数が著しく少なく、最終的には生産される生殖虫の数も少なくなった。曝露コロニーと対照コロニーの間で生活史の軌跡に最初に違いが現れたのは、幼虫として曝露した個体が羽化したときで、これは小さなコホートへの直接的あるいは間接的な影響が、コロニーの適応度に対して累積的で長期的な影響を及ぼす可能性を示唆している。今回の結果は、ネオニコチノイド類の直接的な代替品としてのスルホキシイミン類の使用に対して警告を発するものである。新たな農薬の放出と排除およびそれに伴う環境への影響という悪循環を繰り返さないためには、政策や規制を制定する前に、幅広い証拠基盤を評価する必要がある。

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