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材料科学:バルク天然木材の処理による高性能構造材料の作製

Nature 554, 7691 |  Published: |  doi: 10.1038/nature25476


機械的性能が非常に優れた合成構造材料には、重量が重く環境に悪影響を及ぼしたり(例えば、鋼鉄や合金)、製造工程が複雑でコストが高くなったりする(例えば、ポリマー系複合材料や生体模倣複合材料)という問題がある。天然木材は、豊富に存在する安価な材料であり、建物や家具の構造材料として数千年にわたって用いられてきた。しかし、天然木材の機械的性能(強度や靭性)は、多くの先進的な工学的構造体や工学的用途には不十分である。蒸気、熱、アンモニア、冷間圧延による前処理の後、高密度化することによって、天然木材の機械的性質を向上させられる。しかし、既存の方法では、高密度化が不完全であり、特に湿潤環境に対する寸法安定性が十分でなく、こうした方法で処理された木材は、膨張したり弱くなったりする可能性がある。今回我々は、バルクの天然木材を、強度、靭性、防弾性が10倍以上高く、寸法安定性が優れた高性能構造材料に直接変える、簡便で効果的な手法を報告する。今回の2段階過程では、NaOHとNa2SO3の水性混合物中での煮沸工程によって天然木材からリグニンとヘミセルロースを部分的に除去した後、高温圧縮によって細胞壁を全てつぶして天然木材を完全に高密度化し、木材中のセルロースナノファイバーを高度に整列させる。この手法は、さまざまな樹種に対して普遍的に効果があることが示された。処理後の木材は、構造金属や構造合金の大半より比強度が高いため、これらに代わる安価で高性能の軽量材料になる。

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