Letter 生理:雄マウス脳の5-HTについての遺伝学的研究によって明らかになった性的嗜好の分子的調節 2011年4月7日 Nature 472, 7341 doi: 10.1038/nature09822 雄がどういう相手に対して交尾を企てるかという問題は、社会的相互作用における非常に重要なものの1つだが、哺乳類の性的嗜好を制御する分子機構および細胞機構はほとんど知られていない。本論文では、神経伝達物質の5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)が雄の性的嗜好に必要であることを報告する。野生型雄マウスは、雄よりも雌を選ぶ性的嗜好を示したが、中枢セロトニン作動性ニューロンを欠損する雄マウスは、嗅覚あるいはフェロモン感知におおむね異常がないにもかかわらず、性的嗜好を喪失していた。5-HTの役割は、脳での5-HT合成の第一段階に必要なトリプトファンヒドロキシラーゼ2(Tph2)を欠損するマウスの表現型によって実証された。Tph2がなくても5-HTを野生型レベルに回復できる中間体の5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)を成体Tph2ノックアウトマウスに注射すると、その35分後にこのTph2ノックアウトマウスも雄より雌を選択するようになった。これらの結果は、成体脳での5-HTおよびセロトニン作動性ニューロンが哺乳類の性的嗜好を調節することを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る