Nature ハイライト

惑星科学:火星大気への砂嵐の急速な影響

Nature 568, 7753

火星の全球規模の砂嵐は、大気ダイナミクスひいては大気中の水蒸気分布に影響を与え、火星の大気光化学や気候に影響を及ぼしている可能性がある。今回A Vandaeleたちは、「エクソマーズ」ミッションのトレース・ガス・オービターから得た、全球規模の砂嵐開始時における塵、水(H2O)、半重水(HDO)の高分解能測定の結果を報告している。著者たちは、砂嵐が始まる前にHDOの存在量が40 km以上の高度で検出限界以下まで減少し、HDOの減少が水氷雲の存在と一致することを見いだしている。砂嵐が始まると、40〜80 kmの高度においてH2OとHDOの存在量が増すことが観測された。著者たちは、こうした存在量の増加は、砂嵐時の温度上昇によってより強い大気循環が生じ、氷雲の形成が妨げられる結果である可能性があり、これによって、水蒸気は氷の重力による落下とその後の昇華により低高度に閉じ込められる可能性があると考えている。さらに彼らは、砂嵐の発達中の数日内にH2OとHDOの存在量の変化が観測されることを見いだしており、これは砂嵐が火星大気に速やかに影響を及ぼしていることを示唆している。

2019年4月25日号の Nature ハイライト

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