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エピジェネティクス:春に向けた種子のリセット

Nature 551, 7678

植物のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では、冬の長期の低温曝露により花成抑制因子FLOWERING LOCUS CFLC)のエピジェネティックなサイレンシングが引き起こされ、植物は春に花を咲かせることができるようになる。しかし、この安定的なサイレンシング状態、すなわち「春化」状態は、各世代でリセットされなければならない。今回Y Heたちは、種子特異的な転写因子LEAFY COTYLEDON1(LEC1)がFLCにおける活性クロマチン状態の確立を促進し、前胚でのde novoな発現を活性化することで、配偶子から受け継いだサイレンシング状態を解除することを明らかにしている。そしてこのFLCの活性クロマチン状態は、LEC1発現がなくなった後の種子発生後の時期へ伝えられる。これらの発見は、春化状態のリセットは胚性の転写因子による前胚でのde novoFLCの活性化過程であって、親植物が春化を受けたかどうかにかかわらず生じることを示唆している。

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