Nature ハイライト

コロナウイルス:クロロキンはTMPRSS2を発現する細胞ではSARS-CoV-2を阻害しない

Nature 585, 7826

クロロキンは、培養Vero細胞において重症急性呼吸器コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染を阻害することがこれまでに報告されており、SARS-CoV-2感染によって引き起こされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療を目的として、ヒト臨床試験が行われている。S Pöhlmannたちは今回、SARS-CoV-2を切断し、肺細胞への侵入を活性化する細胞性プロテアーゼTMPRSS2を発現するヒト肺細胞株では、クロロキンが、このウイルスを阻害しないことを示している。また、TMPRSS2を発現するように操作したVero細胞でも、クロロキンはウイルスの複製を阻害しなかった。これらの知見から、クロロキンは肺細胞では働いていないウイルス侵入経路を標的とするらしいことが明らかになり、著者たちは、抗SARS-CoV-2薬候補の研究には適切なタイプの細胞を使うべきであると注意を促している。

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