Nature ハイライト

微生物学:マラリア伝播を阻止する新しい戦略

Nature 567, 7747

マラリアの蔓延を防ぐ最も有効な手段は、殺虫剤で処理した蚊帳(長期残効型蚊帳)の使用である。そのため、蚊における殺虫剤への抵抗性の拡大は、マラリアを蔓延させる現実的なリスクとなる。F Catterucciaたちは今回、ハマダラカ属(Anopheles)の蚊の雌を、マラリア原虫阻害剤で処理した表面または蚊帳の素材にさらすことで、これらのマラリア媒介蚊でのマラリア原虫(Plasmodium)の感染が効果的に阻止できることを報告している。低濃度の抗マラリア薬アトバコン(シトクロムb阻害剤の1つ)への短時間の曝露によって、ガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)内での熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の発生が完全に阻止され、結果としてその伝播も阻止されたが、蚊の生存や生殖への影響はなかった。同様の伝播阻止効果は他のシトクロムb阻害剤でも達成されたことから、マラリア原虫のミトコンドリア機能がこれらの寄生虫を死滅させるのに適した標的であると実証された。著者たちは、こうした効果がマラリアの伝播動態にどのような影響を及ぼすかをモデル化し、蚊帳にマラリア原虫阻害剤を含浸させることで、殺虫剤抵抗性という世界的な健康問題を著しく軽減させられると予測している。

2019年3月14日号の Nature ハイライト

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