2017年4月号Volume 14 Number 4

火星の石を持ち帰れ!

火星の生命を探す最良の方法は、火星の岩石を地球に持ち帰ってじっくり分析することだが、試料を地球や探査機由来の物質で汚染せずに採取し、変性させずに持ち帰るのは至難の業である。NASAは今、その究極のミッション「マーズ2020」の詳細を詰めているところで、今年2月中旬には着陸地点を3カ所に絞ったことを発表した。それらはかつて水があったと予想されている場所だ。

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Editorial

2017年1月、感染症の流行に備えたワクチンの開発と備蓄を目標とする国際的な取り組み「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」が発足した。日本など数カ国が参画を表明している。

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Research Highlights

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News

スペインによるアステカ帝国の征服後に現地で発生した疫病は、人類史上最悪の疫病の1つとされている。このほど500年前の遺体から細菌のDNAが採取され、この疫病に関する初の直接的な証拠が得られた。

南西太平洋のニュージーランド付近の領域は大陸地殻からなり、その大部分が海面下に沈んでいる。一部の研究者は、この領域をアフリカやオーストラリアなどと同じ「大陸」として扱うべきだと主張している。

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多彩な生態系サービスを提供することで知られる、沿岸域のスーパーヒーロー「海草藻場」に、海水中の病原性細菌を除去する能力があることが明らかになった。海草藻場の存在は、サンゴ礁の病気を防ぐのみならず、ヒトの健康にも大いに関係しているとみられる。

海水塊を正確にカテゴリー分けし、かつてない精度で海洋生態系の情報を記録した三次元地図が公開された。海洋保全計画の立案に役立つことが期待される。

ヒト試料を扱う研究と臨床試験で米国政府が助成するものに適用される規則「コモン・ルール」。このたびの改訂では、焦点となっていた被験者保護の拡充が見送られ、プライバシーに関する懸念が広がっている。

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News Feature

火星の生命を探す最良の方法は、火星の岩石を地球に持ち帰ってじっくり分析することだが、試料を汚染から守るのは至難の業だ。NASAは今、24億ドルを投じて、この前例のないミッションに挑もうとしている。

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Japanese Author

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人間の脳が恐怖体験を記憶しやすいのは、危ないものに二度と近づかないために意味があるからだといわれる。しかし、それがトラウマ(心的外傷)となって日常生活に支障をきたすこともあり厄介だ。このほど、最新の情報学的技術を脳科学に応用して恐怖記憶を消去する新技術が、新創刊のNature Human Behaviourに報告された。従来の恐怖記憶の緩和治療に伴いがちなストレスを大きく低減できる画期的な方法と期待される。論文著者である情報通信研究機構(NICT) 脳情報通信融合研究センター(CiNet)および株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 脳情報通信総合研究所に所属するお三方に話を伺った。

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News & Views

血球の供給源である造血幹細胞は、必須アミノ酸の一種「バリン」に依存していることが明らかになった。マウスにバリンを含まない食餌を与えると、骨髄移植の前処置に類似した効果が得られ、移植が成立したのだ。この手法を使えば、骨髄移植に伴う毒性を低減できる可能性がある。

地球は、隕石が集積(落下付着)することによって成長した。この「地球の材料」がどのようなもので、それが地球形成が進むにつれてどう変化したかが、同位体の高精度測定から明らかになった。これまでの地球形成モデルを修正する必要がありそうだ。

細胞のDNAに埋め込まれたバーコード配列にランダムな改変を導入する方法によって、細胞の空間的な関係を保持したまま、細胞の子孫関係を見分けることが可能になった。著者らはこの技術をMEMOIR(メモワール)と名付けた。

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News Scan

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