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造血幹細胞の維持にはバリンが必須

Nature ダイジェスト Vol. 14 No. 4 | doi : 10.1038/ndigest.2017.170428

原文:Nature (2017-01-12) | doi: 10.1038/nature21106 | Valine starvation leads to a hungry niche

R. Grant Rowe & George Q. Daley

血球の供給源である造血幹細胞は、必須アミノ酸の一種「バリン」に依存していることが明らかになった。マウスにバリンを含まない食餌を与えると、骨髄移植の前処置に類似した効果が得られ、移植が成立したのだ。この手法を使えば、骨髄移植に伴う毒性を低減できる可能性がある。

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bakhtiar_zein/iStock / Getty Images Plus/Getty

骨髄内のニッチに存在している造血幹細胞(HSC)は、あらゆる血液細胞系譜に分化できる。そのため骨髄移植は、血液や血液由来細胞が関わる多くの疾患の根治的な治療法となっている。ただし、骨髄移植では通常、移植の前にレシピエントが前処置治療(化学療法のみ、あるいは化学療法と全身への放射線療法の併用)を受ける必要がある。これは、異常なHSCを除去して骨髄ニッチに空きを生み、ドナーHSCの受け入れを可能にするとともに、免疫系を抑制してドナー細胞の拒絶を阻止することが目的だ。しかし、このような前処置により、顕著な免疫抑制、組織損傷、そして死亡に至ることもあり、また不妊などの長期的な副作用も生じる。このほど東京大学医科学研究所の田矢祐規らは、健康なマウスの食餌からアミノ酸のバリンを除去するだけで、骨髄HSCの減少が引き起こされることを突き止めた。また、これが毒性の少ない骨髄移植前処置になることをマウスで実証し、Scienceに報告した1

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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