Nature ハイライト

量子物理学:ループホールの無いランダム性

Nature 556, 7700

ランダム性は、かつては抽象的な概念であったが、データの暗号化に使用される乱数生成器など、今では確立された技術的資源である。しかし、そうしたデバイスによって得られたランダム性はどれほど「良質」なのであろうか。デバイスの出力したランダム性の予測不可能性はどれほど「本当」なのであろうか。ランダム性を生成するための、デバイスに依存しないプロトコルは、ベル不等式の破れが関わるベルテスト(Bell test)で調べられた量子非局所性に依拠しており、このプロトコルによって、デバイスや潜在的なハイジャッカーに関する最小限の仮定を用いて認証されたランダム出力が得られる。今回P Bierhorstたちは、ループホールの無いベルテストに基づくデバイスに依存しないプロトコルでランダム性を認証し、定量化した。このような「改良された」ベルテストは、各試行において、高い光検出効率と、空間的に分離された測定ステーションを必要とし、一方のステーションでのデータ取得がもう一方のステーションでの測定に影響を及ぼさない(逆も然りである)ことが保証されている。このようにして、著者たちは超光速信号の存在を認めないいかなる物理理論の範囲内においても予測不可能な1024個のランダムビットを抽出した。重要なのは、このプロトコルは、試行ごとのベル不等式の破れが低いことを特徴とするデバイスに最適化されていることである。このような乱数生成器は、現在の暗号システムのセキュリティーと信頼性の向上に役立つ可能性がある。

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