Nature ハイライト

実験進化学:前進するのに最適な鰭

Nature 513, 7516

胸鰭を使って「歩く」ポリプテルス・セネガルス。
胸鰭を使って「歩く」ポリプテルス・セネガルス。 | 拡大する

Credit: Antoine Morin

アフリカに生息するポリプテルス属(Polypterus)の魚類は、観賞用としても飼育されている原始的な条鰭類で、うきぶくろに由来する機能性の肺や、時折陸に上がった際に体を支える強力な胸鰭を備えている。今回の研究では、ポリプテルス・セネガルス(P. senegalus)を四肢類の直接祖先のモデルと見なし、これを「陸生化」させた場合に生じる解剖学的および行動的な変化を定量した。陸上で飼育した個体は、水中で育ててから初めて陸に上げた個体と比べて、頭部を地面からより高く持ち上げ、胸鰭がより正中線に寄っており、地面に着いた鰭が滑る頻度が少なかった。これらの観察結果は、骨の構造や筋組織の変化と合わせると、最古の四肢類、厳密にはその直接祖先である魚類に認められる姿勢変化の一部が、環境に対応して生じ、発生可塑性によって取り込まれていった可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度