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医学:ファンコニ貧血におけるアルデヒド毒性

Nature 475, 7354

ファンコニ貧血の患者では、発育不全、幹細胞の異常や、白血病になりやすいという傾向が強く見られる。一方、ファンコニ貧血患者の細胞は、シスプラチンやマイトマイシンCなどのDNA架橋形成剤によるDNA損傷に対して感受性がある。これらはがん化学療法剤であり、普段は細胞がさらされることはない。では、ファンコニ貧血DNA修復経路によって修復されるDNA損傷の本来の発生源は、何なのだろうか。今回、Fancd2(数個あるファンコニ貧血遺伝子の1つ)とAldh2(アルデヒド解毒酵素をコードする遺伝子)を欠損したマウスを用いた実験で、ファンコニ貧血ではアセトアルデヒドがDNA損傷の内在性発生源の1つであり、がんの発症しやすさや造血不全の一因となっていることが示唆された。これらのマウスモデルは、妊娠中に胎児がアルコールに曝露されることで生じる損傷の仕組みについても示唆している。

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