Nature ハイライト 医学:並行臨床試験の試行に成功 2012年3月29日 Nature 483, 7391 新規治療法を評価する方法として、最近、「並行臨床試験(co-clinical trial)」というアイデアが出されている。この考え方は、ヒトの臨床試験とマウスの前臨床試験で同時に薬剤を検討し、得られた2つのデータセットを統合することで、より多くの情報を引き出せるというものだ。今回、この方法の可能性を示すために、遺伝子改変マウスモデルを用いて、KRAS変異型肺がんで化学療法剤ドセタキセル単剤療法と、MEK阻害剤との併用療法を比較する無作為化第II相臨床試験を模した試験を行った。このマウスモデルでは、Kras変異あるいはKrasとp53の両方の変異を持つ腫瘍はドセタキセル単剤療法よりも併用療法によく反応したが、活性化Krasに加えLkb1の欠失があるマウスでは相対的に反応が低かった。この結果は現在進行中のドセタキセル臨床試験に重要な意味を持ち、患者がLKB1変異を持つかどうかを検査すべきであることを示唆している。 2012年3月29日号の Nature ハイライト 地球:南極氷床の崩壊と海水準変動 進化:違う歩き方をしていたヒト族の仲間たち 光学:電子–正孔を超高速光変調で引き裂く 細胞:iPS細胞作製におけるクロマチンの制御 医学:並行臨床試験の試行に成功 細胞:OTUB1とDNA損傷応答 医学:細菌による宿主免疫の抑制 構造生物学:腸内病原菌の酸耐性 目次へ戻る