Nature ハイライト

生態:中立説を考察する

Nature 453, 7192

ミシシッピ–ミズーリ流域にみられる河川の巨大ネットワークは、生物多様性と生態系サービスの重要な源である。今回、NatureServeデータベースにある淡水魚の生息分布の解析から、この河川流域にみられる魚類多様性の大規模パターンを、単純な中立メタ群集モデルによって予測できることが実証された。生物多様性の中立説では、餌資源を共有する種からなる群集の構成種間の違いは「中立」なものであり、相対的成功度に影響しないと考える。こうした説をめぐっては議論が続いているが、今回の例に関しては中立説がうまくあてはまる。最小限のパラメーター・セットしかない単純なモデルで、複雑な景観内で観察される生物多様性パターンを捉えられるということは、環境変化の効果的な監視が可能であって、それにより資源管理や保全戦略に寄与できることを示唆している。

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