Nature ハイライト
Cover Story:炎の中で作り出される:原始星の周囲の凝縮する鉱物が太陽系の形成初期の状況に光を当てる
Nature 643, 8072

ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/M. McClure et al.
太陽系の地球型惑星は、星間固体物質と、若い太陽の周囲を取り巻く高温ガスが冷却された際に凝結した岩石質の固体の混合物から形成されたと考えられている。鉱物が高温ガスから凝縮し始める瞬間こそ、惑星形成の時計が動き出す瞬間である。今週号ではM McClureたちが、オリオンB分子雲中の原始星HOPS-315におけるこの惑星形成の開始時刻を捉えた天文学的観測結果について報告している。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)によって捉えられた観測結果は、原始星付近の星間固体粒子が、一酸化ケイ素および一酸化炭素からなる細いジェットの根元で燃え尽きた後、結晶性鉱物として再凝縮することを示唆している。表紙の画像は、ALMAによるHOPS-315の一酸化炭素地図を基に描いた惑星形成瞬間の想像図である。HOPS-315の環境が太陽系と類似していることから、この原始星は、身近な場所で惑星がどのように形成されたかを調べるための優れたモデルとなるかもしれない。
2025年7月17日号の Nature ハイライト
天文学:親星にフレアを引き起こす近接する惑星
フォトニクス:高分解能誘導X線ラマン分光
非線形光学:非線形性を大幅に高めた光子アバランシェナノ結晶
分光学:高感度で広帯域の超高速偏光分光計
化学工学:ゼオライトにおける活性金属種の移動と保持の制御
生物地球化学:陸域の窒素固定に対する農業のより大きな寄与
古生物学:前期中新世までさかのぼった古代プロテオミクス
神経科学:PTSDが脳に残す痕跡を探る
生理学:脳脊髄液の滞留は押して治せる
植物科学:根粒菌の共生と病原菌に対する免疫を両立させる分子機構
微生物学:蚊体内発育期のマラリア原虫を標的とした抗寄生虫薬の開発
微生物学:構成的なDNAシグナルが制御する新たな抗ファージ防御系
がん:放射線療法が遠隔転移に影響する仕組み
遺伝学:エンハンサーハブ構築に関わる固体様凝縮体
遺伝学:遠くから働くエンハンサーを隣で助けるシス作用性エレメント
遺伝学:マウスin vivoでのヒトエンハンサーの変異誘発感受性評価
分子生物学:非相同末端結合の最終段階での構造
生化学:ATPは小胞体へと一歩ずつ段階的に移動する