Volume 560 Number 7716

Editorials

カリブ海地域のハリケーンを生き延びたトカゲは、進行中の自然選択を垣間見ることのできる貴重な例である。

How lizards got their big feet p.5

doi: 10.1038/d41586-018-05821-7

個々の異常気象を気候変動に原因特定するかの判断は、もはや公的機関で日常的に行うことができる時代になっている。

Pinning extreme weather on climate change is now routine and reliable science p.5

doi: 10.1038/d41586-018-05839-x

News

火星の南極の氷床の下に、液体の水が大量にある可能性が濃厚に。

There’s water on Mars! Signs of buried lake tantalize scientists p.13

doi: 10.1038/d41586-018-05795-6

中国で新たに2件の不正ワクチン問題が発覚し、国産ワクチンへの信頼は揺らいでいるものの、予防接種の必要性に対しては依然として高い理解が。

Chinese vaccine scandal unlikely to dent childhood immunization rates p.14

doi: 10.1038/d41586-018-05835-1

欧州司法裁判所が、CRISPRのような遺伝子編集で改変した作物も従来の遺伝子組換え(GM)作物と同様に規制すべきとの判断を。

CRISPR plants now subject to tough GM laws in European Union p.16

doi: 10.1038/d41586-018-05814-6

銀河系の中心にある大質量ブラックホールで重力赤方偏移が初めて観測され、一般相対性理論の裏付けに。

Milky Way’s black hole provides long-sought test of Einstein’s general relativity p.17

doi: 10.1038/d41586-018-05825-3

米国共和党が、「絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律(ESA)」の改訂を提案しており、野生動植物の保護が後退する恐れが。

Push to weaken US Endangered Species Act runs into roadblocks p.17

doi: 10.1038/d41586-018-05834-2

News Features

気象学:諸悪の根源

Droughts, heatwaves and floods: How to tell when climate change is to blame p.20

熱波や洪水が世界各地で増加しているが、こうした極端な気候事象の地球温暖化への原因特定が気象予報で簡易判断できる日も遠くはない。

doi: 10.1038/d41586-018-05849-9

News & Views

炭素循環:微生物が土壌の炭素シンクを弱める

Hyperactive soil microbes might weaken the terrestrial carbon sink p.32

二酸化炭素が土壌から失われる速度が、陸生植物に利用される速度よりも大きくなっていることが今回明らかになった。これは、土壌微生物がより活動的になっているためであり、炭素シンクとして機能する地表の能力が弱まっている可能性がある。

doi: 10.1038/d41586-018-05842-2

自己免疫:ペプチドの分泌が糖尿病の引き金になる

Peptide secretion triggers diabetes p.33

インスリンホルモンを産生する細胞に対する自己免疫攻撃は、1型糖尿病の原因になる。今回、マウスの研究によって、膵臓細胞による血流へのインスリンペプチド断片の放出が、この有害な過程の引き金となることが明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-018-05710-z

地球科学:青いダイヤモンドの起源

The origin of blue diamonds p.35

今回、青いダイヤモンドにどこで色が付くかという謎が解明され、地表から下部マントルへの地球化学的経路が明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-018-05830-6

医学研究:近道を通って中枢神経系に移動するがん細胞

Leukaemia follows a blood-vessel track to enter the nervous system p.35

ある種のがんは神経系に浸潤しやすく、この場合、予後はより悪くなる。今回、マウスの白血病の研究によって、骨髄から中枢神経系へと直接浸潤する意外な経路が明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-018-05693-x

音響学:反射を伴わない負の屈折

Reflection forbidden and refraction reversed in an artificial crystal p.37

人工結晶の2つのファセットの境界において、予測とは反対の方向に音波が伝わり、反射が生じないことがあることが、今回明らかになった。こうした波の振る舞いには、多くの用途がある可能性がある。

doi: 10.1038/d41586-018-05806-6

代謝学:カロリー燃焼の意外な引き金

An unexpected trigger for calorie burning in brown fat p.38

今回マウスにおいて、代謝生成物のコハク酸塩分子によって、熱産生が増進され、褐色脂肪のカロリー燃焼が促進されることが分かった。この発見は、ヒトの肥満との闘いに影響を及ぼす可能性がある。

doi: 10.1038/d41586-018-05619-7

神経発生学:発生期のニューロンには素質と養育が必要である

Developing neurons are innately inclined to learn on the job p.39

介在ニューロンと呼ばれる脳の抑制性ニューロンのさまざまなサブタイプの発生に寄与する遺伝的要因と環境要因は、よく分かっていない。今回、マウスの研究で、この過程に関する新たな知見が得られた。

doi: 10.1038/d41586-018-05737-2

Review

素粒子物理学:素粒子物理学のエネルギーフロンティアとインテンシティーフロンティアにおける機械学習

Machine learning at the energy and intensity frontiers of particle physics p.41

doi: 10.1038/s41586-018-0361-2

Articles

微生物群集:融解しつつある永久凍土中での炭素の反応処理に関する、ゲノムを中心とした考察

Genome-centric view of carbon processing in thawing permafrost p.49

doi: 10.1038/s41586-018-0338-1

医学研究:白血病は神経機構を乗っ取って中枢神経系に浸潤する

Leukaemia hijacks a neural mechanism to invade the central nervous system p.55

doi: 10.1038/s41586-018-0342-5

Letters

音響学:ワイル・フォノニック結晶における表面弾性波のトポロジカルな負の屈折

Topological negative refraction of surface acoustic waves in a Weyl phononic crystal p.61

doi: 10.1038/s41586-018-0367-9

材料科学:架橋部として金属有機ケージを有するポリマーネットワークのトポロジーを光で切り替える

Photoswitching topology in polymer networks with metal–organic cages as crosslinks p.65

doi: 10.1038/s41586-018-0339-0

有機化学:強い脂肪族C–H結合の直接アリール化

Direct arylation of strong aliphatic C–H bonds p.70

doi: 10.1038/s41586-018-0366-x

気候科学:アフリカ南東部におけるヒト科の進化に対する200万年間の水文気候学的な背景

A two-million-year-long hydroclimatic context for hominin evolution in southeastern Africa p.76

doi: 10.1038/s41586-018-0309-6

炭素循環:最近数十年にわたって全球的に増加している土壌の従属栄養生物呼吸

Globally rising soil heterotrophic respiration over recent decades p.80

doi: 10.1038/s41586-018-0358-x

地球化学:青いダイヤモンドは地球下部マントル由来のボロンを含んでいる

Blue boron-bearing diamonds from Earth’s lower mantle p.84

doi: 10.1038/s41586-018-0334-5

進化学:島嶼のトカゲの形態に働く、ハリケーンに誘導された選択

Hurricane-induced selection on the morphology of an island lizard p.88

doi: 10.1038/s41586-018-0352-3

気候変動生態学:グレートバリアリーフにおけるサンゴの大規模白化事象後の生態系の再構築

Ecosystem restructuring along the Great Barrier Reef following mass coral bleaching p.92

doi: 10.1038/s41586-018-0359-9

神経科学:興奮と抑制の同調の差異がフェレット視覚皮質の運動方向選択性を形成する

Differential tuning of excitation and inhibition shapes direction selectivity in ferret visual cortex p.97

doi: 10.1038/s41586-018-0354-1

代謝学:コハク酸の蓄積が脂肪組織の熱産生活性化を制御する

Accumulation of succinate controls activation of adipose tissue thermogenesis p.102

doi: 10.1038/s41586-018-0353-2

自己免疫:膵島はインスリンペプチドのエキソサイトーシスを介してリンパ組織と情報交換する

Pancreatic islets communicate with lymphoid tissues via exocytosis of insulin peptides p.107

doi: 10.1038/s41586-018-0341-6

分子生物学:53BP1–RIF1–シールディンはCSTおよびPolα依存性の埋め込みによりDSBの削り込みに対抗する

53BP1–RIF1–shieldin counteracts DSB resection through CST- and Polα-dependent fill-in p.112

doi: 10.1038/s41586-018-0324-7

分子生物学:シールディン複合体は53BP1依存的DNA修復を仲介する

The shieldin complex mediates 53BP1-dependent DNA repair p.117

doi: 10.1038/s41586-018-0340-7

分子生物学:53BP1とREV7–シールディン複合体との協調がDNA構造特異的な非相同末端結合修復を支えている

53BP1 cooperation with the REV7–shieldin complex underpins DNA structure-specific NHEJ p.122

doi: 10.1038/s41586-018-0362-1

構造生物学:ヒトPatched、およびヒトPatchedが自然状態のパルミトイル化ソニックヘッジホッグと形成した複合体の構造

Structures of human Patched and its complex with native palmitoylated sonic hedgehog p.128

doi: 10.1038/s41586-018-0308-7

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