Nature ハイライト

ウイルス学:HIV-1エンベロープタンパク質のコンホメーション状態

Nature 568, 7752

HIV-1のエンベロープタンパク質は、コンホメーションが動的に変化するタンパク質で、CD4(細胞が持つHIV-1受容体)に結合し、HIV-1の細胞への侵入を仲介している。単一分子蛍光共鳴エネルギー移動(smFRET)を用いた以前の研究では、HIV-1エンベロープタンパク質は3つのコンホメーション状態、すなわち状態1(刺激前のまだ結合していないコンホメーション)、状態2(中間段階)と状態3(受容体に結合している)を経ることが明らかにされている。今回W Mothesたちは、構造研究で刺激前のコンホメーションに当たると推定されていたHIV-1エンベロープタンパク質三量体の可溶型は状態1ではなく、状態2と3に当たる下流のコンホメーションがほとんどであるらしいことを、smFRETを使って明らかにした。従って、状態1のコンホメーションの構造は、まだ決定されていないということになりそうだ。

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