Nature ハイライト

細胞生物学:Pelotaタンパク質がリボソームを救済する

Nature 556, 7701

哺乳類の表皮では幹細胞の運命の制御は翻訳調節によって行われているとする証拠が集まってきているが、細胞と遺伝子の特異性が確保される仕組みは分かっていなかった。Pelotaは、停止したリボソームの救済を助けるタンパク質として、ショウジョウバエ(Drosophila)で初めて見つかった。F WattとR Greenたちは今回、Pelotaが、Lrig1により標識される皮膚の幹細胞集団において機能することを示している。この細胞集団特異的にPelotaの機能を喪失させると、機能的な皮膚を構成する全ての細胞系譜の分化異常と異常増殖が引き起こされたが、他の皮膚幹細胞でPelotaの機能を喪失させても全くあるいはほとんど影響がなかった。Pelotaが存在しないと、短いリボソームフットプリントが蓄積することから、mRNAの3′末端を通過した翻訳や、翻訳の全体的な亢進が起こることが示された。mTORを標的として翻訳を阻害すると、in vivoでの表皮表現型が救済された。

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