Nature ハイライト

地形学:峡谷を形成した決壊洪水

Nature 538, 7624

岩盤峡谷を形成した洪水の規模の再構築によって、惑星の気候と景観形成を理解するための情報が得られる。洪水の流出量は、洪水が峡谷の縁まで水を満たすと仮定して見積もるのが一般的であるが、峡谷は、下刻時に地形が調節されながら漸進的に形成されたという説も提案されている。今回、この仮説の定量的な評価のために、米国ワシントン州のチャネルド・スキャブランド(Channeled Scabland)にある峡谷モーゼス・クーリーにおける洪水の数値的なシミュレーションが行われた。著者たちは、峡谷の下刻時の浸食しきい値を考慮すると、洪水の流出量は、縁まで満たした場合の見積もりの5分の1から10分の1でほぼ一定であり、峡谷内の流れの深さの指標と一致することを見いだした。今回の知見は、峡谷形成に関与する洪水の流出量は、これまで考えられていたよりも少ない可能性があることを示唆している。

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