Letter
地形学:決壊洪水によるチャネルド・スキャブランドの漸進的な下刻
Nature 538, 7624 doi: 10.1038/nature19817
地球と火星の表面には、破局的な決壊洪水によって刻まれた大きな岩盤峡谷がある。峡谷を形成したこうした洪水の規模の再構築は、惑星表面を洪水がどのように変化させたかや、初期火星の水文学的性質、急激な気候変動を理解するのに不可欠である。洪水の流出量は、洪水が峡谷の縁まで水を満たすと仮定して見積もることが多い。しかし、河床の剪断応力が浸食のしきい値をわずかだけ上回るように、下刻時に峡谷の地形が調節されるという、もう1つの仮説がある。本論文では、峡谷の下刻時の浸食しきい値を考慮することで、米国ワシントン州東部における破局的なミズーラ洪水によって更新世に刻まれた、チャネルド・スキャブランドにある峡谷、モーゼス・クーリーでは、洪水の流出量がほぼ一定で、縁まで満たした場合の見積もりの5分の1から10分の1であることを示す。予測された流出量は、峡谷内の砂礫州から得られる流れの深さの指標と一致する。対照的に、洪水が峡谷の縁まで満たすと仮定した場合は、峡谷が漸進的に下刻されるにつれて、洪水の流出量が単調に大きく増加したと予測されるが、氷河湖の決壊に起因する洪水で予測される流出量とは相いれない。今回の知見は、破砕された岩石に洪水が刻んだ景観は岩盤浸食のしきい値状態まで進化する可能性を示唆しており、洪水の流出量はこれまで考えられていたよりも少なかったことを示している。

