Nature ハイライト

植物科学:植物ホルモンであるジャスモン酸のシグナル伝達

Nature 525, 7568

植物ホルモンであるジャスモン酸によって引き起こされるシグナル伝達の経路は、植物のストレス応答に加えて、成長や発生も調節している。分子レベルでは、JAZ(jasmonate ZIM-domain)タンパク質はジャスモン酸の共受容体として機能するだけでなく、ジャスモン酸シグナルの伝達に必要とされる転写因子MYCの活性化を抑制する。S Heたちは今回、X線結晶構造学の手法を使って、JAZタンパク質が転写抑制因子とジャスモン酸共受容体という2つの役割をどうやって切り替えられるのかという疑問の解決を試みた。以前の研究から、JAZ抑制因子の保存されたJasモチーフが構造が部分的にほどけたヘリックスとしてジャスモン酸と結合することが示唆されていた。だが、著者たちはJasモチーフはMYCに結合する際に完全なαヘリックスを形成することを見いだした。その結果、JasモチーフはMYCのN末端の折りたたみ構造に不可欠な部分となって、MYCに顕著なコンホメーション変化をもたらす。こうした競合的結合が起こったことで、転写に関わるメディエーター複合体のサブユニットの1つとMYCとの相互作用が阻害され、転写活性が抑制されるのである。

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