Nature ハイライト

免疫学:細菌による侵入ウイルス認識

Nature 519, 7542

細菌にも免疫記憶があるかもしれないという、以前なら奇抜と思われた考えが事実として受け入れられるようになったのは、CRISPR–Cas遺伝子座が、ファージの短い塩基配列、すなわちスペーサーを獲得して迅速に進化することが分かったからである。こうした配列はCRISPRリピート配列の間に組み込まれ、ファージ感染の記録となる。これらのスペーサーは転写されて小型のCRISPR RNA(crRNA)となり、侵入してくるウイルスのDNAを標的とするのに使われる。今回2つの研究グループが、侵入したウイルスに関するDNA記憶を細菌が作り出す仕組みの詳細を分子レベルで明らかにしている。J Doudnaたちは、大腸菌(Escherichia coli)由来の精製したCas1–Cas2複合体が、レトロウイルスのインテグラーゼやDNAトランスポザーゼとよく似たやり方で、基質であるオリゴヌクレオチドDNAをアクセプターDNAへと組み込むことを明らかにした。Cas1は触媒サブユニットで、Cas2は組み込み活性を高める働きをし、この2つが組み合わさってスペーサー獲得に必要な最小限の装置が形成される。L Marraffiniたちは、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のII型CRISPR–Cas系では、crRNAを目印として使って侵入ウイルスのDNAを不活性化するCas9ヌクレアーゼが、新しいスペーサー配列の取り込みにも必要なことを明らかにしたが、その仕組みはまだ解明されていない。

2015年3月12日号の Nature ハイライト

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