Nature ハイライト

がん:組織特異的因子群はPTENが関わる白血病に影響を及ぼす

Nature 510, 7505

腫瘍抑制遺伝子PTENの不活性化は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達の構成的な活性化を引き起こし、これは白血病などのがんで頻発している変異である。S Loweたちは、RNAiを用いる手法によりT細胞Ptenヌル白血病の新たなマウスモデルを作製した。このモデルでは、in vivoでのPTENの発現をドキシサイクリン添加の有る無しによって条件的に調節できる。このモデルを使って、PTEN欠失は造血器官での腫瘍細胞量にほとんど影響しないが、PTEN再活性化は腫瘍の腸への播種を低減させ、またPTENの欠失はこれを増幅することが分かり、PTENを欠損した条件下での腫瘍微小環境の重要性が実証された。この知見から、腫瘍の治療は、その腫瘍に特異的な遺伝学的構成に対してだけでなく、その微小環境にも合わせて調整しなくてはならないと考えられる。こういう微小環境は、播種の起きる部位によって変化する可能性がある。

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