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がん:白血病におけるPTENの作用は組織の微小環境に左右される
Nature 510, 7505 doi: 10.1038/nature13239
PTENは脂質ホスファターゼをコードしており、多くのがんで欠失、変異や遺伝子サイレンシングによる発現低下が見られる。PTENはホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸を脱リン酸化するため、クラスI型ホスファチジルイノシトール3-キナーゼの活性に対抗している。クラスI型ホスファチジルイノシトール3-キナーゼは、AKTやmTORのような、この酵素のエフェクターを介して行われる増殖因子や生存因子シグナル伝達を仲介している。PTENの持続的不活性化が、悪性腫瘍の維持に必要とされるのかどうかを明らかにするために、我々は、テトラサイクリンに依存して時間および組織に特異的な様式でPTENを調節できる、RNA干渉に基づくトランスジェニックマウスモデルを作製した。出生後に造血区画でPtenをノックダウンすると、高い播種性を持つT細胞急性リンパ芽球性白血病が発症した。PTENの再活性化は、主にT細胞白血病の播種を低減し、造血器官における腫瘍細胞量にはあまり影響がなかったことは重要である。白血病の腸管への浸潤は、CCR9 Gタンパク質共役型受容体シグナル伝達に依存しており、これはPTEN欠失により増幅された。我々の結果は、PTENが存在しない場合には、増殖非支持的な環境での腫瘍増殖と浸潤の促進に、Gタンパク質共役型受容体が予想外の役割を持つようになる可能性を示唆している。また、腫瘍持続におけるPTEN欠失の役割は一定しておらず、組織の微小環境によって影響を受ける可能性があり、従ってがんの遺伝子型とは無関係に腫瘍内の不均一性を生み出す一因となりかねないことを明らかにしている。

