Nature ハイライト

古生物学:歯の進化的起源

Nature 502, 7472

パラコノドント(左)とユーコノドント(右)のエレメントの比較。
パラコノドント(左)とユーコノドント(右)のエレメントの比較。 | 拡大する

Credit: DJE Murdock

堆積岩にはコノドントエレメントと呼ばれる歯に似た微化石が大量に含まれる場合が多く、そのためこれらは地層の年代特定に広く利用されている。これらのエレメントは、体の軟らかいウナギに似たコノドント類という動物の咽喉にある咽頭の構成要素である。その組織学的特徴は脊椎動物の歯と極めてよく似ているため、歯の出現が口で起こったとする「内から外へ(inside-out)」進化モデルが示唆されている。しかし今回、形態の似ているユーコノドントとパラコノドントのエレメントの微細構造を、シンクロトロン放射X線断層顕微鏡法を用いて比較した新しい研究で、「内から外へ」モデルの解釈に疑問が投げかけられた。得られたデータは、コノドントと有顎脊椎動物の最終共通祖先が石灰化した骨格組織を持たなかったことを示唆していたのである。歯は、顎の出現直後の外皮から内上皮への歯牙形成能力の拡張によって進化したと考えられる。このモデルに基づけば、コノドントエレメントと歯の類似性は平行進化の典型例となる。

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