古生物学:コノドントの起源と脊椎動物の石灰化した骨格の由来
Nature 502, 7472 doi: 10.1038/nature12645
コノドントは絶滅した無顎脊椎動物群であり、その歯に似たエレメントは脊椎動物系統の石灰化した骨格の最古の例である。ここから提唱されたのが、歯は顎の出現以前に脊椎動物の皮膚骨格とは独立に進化したとする「内から外へ(inside-out)」仮説だが、こうした考え方は、派生的なユーコノドントから得られた証拠に基づいたものである。今回我々は、パラコノドントがユーコノドントの祖先であるという仮説を検証するため、シンクロトロン放射X線断層顕微鏡法を使って、形態の類似したユーコノドントとパラコノドントのエレメントの微細構造について特性解析および比較を行った。パラコノドントには、程度の異なるさまざまな構造的分化が認められ、その中にはユーコノドントの底板(basal body)に共通の組織や成長パターンが含まれている。パラコノドントが示すさまざまな程度の構造的分化は、ユーコノドントの特徴の獲得が段階的であったことを示しており、両群の類縁関係をめぐる議論はこれで決着する。ユーコノドントの歯冠組織と脊椎動物のエナメル質は独立して収斂的に進化したものであるため、両者の間に想定されている相同性は暗黙裏に否定されるべきものだ。従って、コノドントのエレメントと脊椎動物の皮歯の間に個体発生的、構造的および位相的に見られる著しい類似性は、注目すべき収斂の一例と言えるだろう。コノドントと有顎脊椎動物の最終共通祖先は、おそらく石灰化した骨格組織を持たなかったと考えられる。歯が顎に先立って進化したとする仮説や歯の進化の「内から外へ」仮説は否定されるべきであり、歯は、顎の出現直後の外皮から内上皮への歯牙形成能力の拡張によって進化したと考えられる。

