Nature ハイライト 進化:Y染色体の運命 2012年3月1日 Nature 483, 7387 哺乳類の性決定に関与するXおよびY染色体は一対の常染色体(性染色体ではない「普通の」染色体)から進化したが、遺伝子の崩壊が起こった結果、ヒトY染色体の雄性特異的領域には、元の常染色体遺伝子の3%だけしか残っていない。今回、アカゲザルのY染色体で雄性特異的領域の塩基配列が解読され、アカゲザル、ヒト、チンパンジーのY染色体の分析によって、その領域の進化の軌跡が復元された。その結果、最初に急激な遺伝子喪失が起こり、その後は純化選択によって残りの遺伝子が厳重に保存されていることがわかった。これは、ヒトY染色体は消滅が避けられない運命にあるという考えに反対する結果である。 2012年3月1日号の Nature ハイライト 脳:視覚情報処理の積み上げ 宇宙:地球の照り返しを使って太陽系外惑星を調べる 化学:1つのC–H結合だけを変換する 地球:大陸衝突が減速する仕組み 進化:Y染色体の運命 認知:記憶回路を再配線 生理:生物時計が心臓に影響を与える仕組み 細胞:結腸がん治療の新しい選択肢 構造生物学:カルシウムチャネルの制御 目次へ戻る