Nature ハイライト

材料:制御可能な自己テンプレーティングによる階層構造形成

Nature 478, 7369

自然界では、階層構造体を形成するのに、自己テンプレーティングという仕組みが広く使われている。このやり方では条件次第で、同じ成分からさまざまに異なる特徴を持つ多数の構造体が形成される。今回の研究では、精密に制御された一段階過程を使って、らせん状にねじれた機能性材料をガラス表面上に直接形成するという巧妙な手法が示されている。出発物質は液晶を形成するM13ファージというキラルコロイド粒子である。スライドガラスをこのファージ粒子を含む溶液に浸けてから引き上げると、ファージ粒子がガラス表面で自己集合する。ファージ濃度を変化させる(溶液の液晶相を変える)、あるいは引き上げ速度を変化させることによって、長距離秩序を持つ3種類の異なる超分子キラル構造体が得られ、それぞれの構造体が重要な光学特性とフォトニック特性を示した。また、M13ファージ表面を生理活性ペプチドであるリガンドで機能化すると、生体軟組織や硬組織の規則的成長を誘発することができる。

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