Nature ハイライト

医学:iPS細胞の遺伝子を修復

Nature 478, 7369

ヒトの誘導多能性幹(iPS)細胞を遺伝性のヒト疾患の治療に使えるようにするには、臨床応用が可能で、効率も効能も高く、標的ゲノムに余分な塩基配列を残さない病因変異修復法の開発が必要だろう。ウェルカムトラスト・サンガー研究所(英国)の遊佐宏介たちは今回、患者特異的iPS細胞に存在する1個の病因変異を遺伝学的に完全に修復できることを実証する原理実験について報告している。彼らはジンクフィンガーヌクレアーゼとpiggyBac技術を用いて、α1アンチトリプシン欠損症の原因となるα1アンチトリプシン遺伝子の点変異を修復した。変異が修復されたiPS細胞は効率よく分化して肝細胞様細胞を形成し、肝損傷動物モデルに腫瘍を形成することなく生着できた。

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