Nature ハイライト

物性物理学:電子に引きずられる光子

Nature 594, 7864

1850年、イッポリート・フィゾーは、移動する水の中を光が伝播する際には光の速度が変化し得ること、すなわち光が媒体に引きずられることを実証した。このドラッギング効果は予想より小さかったが、後にアルベルト・アインシュタインの特殊相対性理論を用いて理解が可能になった。今回D BasovたちとF Wangたちは、固体中の電子流による光子のドラッギングについて報告している。具体的には、彼らは共に、グラフェンにおいて表面プラズモンポラリトン(すなわち光子と電子の複合準粒子)のドラッギングを報告している。この効果は、ドップラーシフトしたプラズモン波長を測定することで実証された。電流を用いて今回実現されたプラズモンの制御は、プラズモンの非平衡現象や非相反現象を調べる新たな機会を開く。

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