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物性物理学:単層グラフェンにおけるディラック電子による効率的なフィゾードラッグ

Nature 594, 7864 doi: 10.1038/s41586-021-03574-4

1850年にフィゾーは、光が移動媒体中を伝播する際には、光の速度が変化し得ることを実証した。しかし、電流を流すことによって高速移動する電子媒体を用いた場合、そうした光速度の制御は、効率的には実現されていない。電子と光の強い電磁結合はプラズモンポラリトンの集団励起につながるため、電子流系におけるフィゾードラッグはプラズモニック・ドップラー効果として現れるとの仮説が立てられている。従来の貴金属では、プラズモンの伝播速度は、電子のドリフト速度よりもはるかに速いため、電子系におけるプラズモニック・ドップラー効果の実験的観測はこれまで困難であった。今回我々は、無質量ディラック電子の高い電子移動度と遅いプラズモン伝播を利用して、高いバイアスを印加した単層グラフェンにおいてプラズモンポラリトンのフィゾードラッグを直接観測したことを報告する。グラフェンに大きなバイアス電流が流れると、プラズモンポラリトンが存在する高速ドリフトディラック電子媒体が生じる。この結果、ドリフト電子媒体と共に移動するプラズモンの伝播速度が速くなる、非相反プラズモン伝播が起こる。我々は、低温でバイアス印加グラフェンにおけるプラズモンポラリトンモードを直接画像化する、クライオ近接場赤外ナノスコピーを用いて、ドップラー偏移したプラズモン波長を測定した。その結果、ドリフト電子媒体と共に移動するプラズモンとドリフト電子媒体に逆らって移動するプラズモンのプラズモン波長の差が、最大で3.6%になることが観測された。プラズモニック・ドップラー効果に関する今回の知見によって、非平衡系において非相反表面プラズモンポラリトンを電気的に制御する機会が得られる。

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