Nature ハイライト

微生物学:細菌の(p)ppApp合成を介した中毒

Nature 575, 7784

多くの細菌はVI型分泌装置(T6SS)を用いて、抗菌エフェクターを競合細胞に送達する。J Whitneyたちは今回、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)PA14株の新しいT6SSエフェクターを報告している。このエフェクターTas1は、(p)ppAppを合成して標的細胞に急激な細胞死を引き起こす。著者たちは、遺伝学的、構造的、生化学的、メタボローム的な手法を組み合わせることで、Tas1がRSH(RelA-SpoT homologue)酵素に類似していることを示している。Tas1が細胞に侵入すると、ATPとADPを著しい速度で枯渇させ、そのために複数の必須代謝経路が阻害されて、細胞死が引き起こされる。細菌間の拮抗作用の新しい機構が明らかになり、細菌における(p)ppAppの生理的役割が初めて実証された。

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