Article

微生物学:細菌間毒素は(p)ppApp合成により標的細胞の増殖を抑制する

Nature 575, 7784 doi: 10.1038/s41586-019-1735-9

細菌は、競合相手の増殖を抑制する精巧な機構を進化させてきた。そのような機構の1つにVI型分泌装置があり、細菌はこの装置を用いて隣接する細胞に抗菌毒素を直接注入できる。このような毒素の多くは細胞外皮の完全性を標的とするが、増殖抑制機構の全容は解明されていない。今回我々は、日和見病原体の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のVI型分泌エフェクターであるTas1を特定した。Tas1の結晶構造から、Tas1は(p)ppGpp(細菌において広く保存されたシグナル伝達分子で、特に栄養ストレスに応答して細胞の増殖速度を調節する)を合成する酵素に類似していることが分かった。しかし、Tas1は(p)ppGppを合成させるのではなく、アデノシンヌクレオチドをピロリン酸化して、(p)ppAppを1分当たり約18万分子の速度で産生する。そのため、Tas1の競合細胞への送達は、(p)ppAppの急激な蓄積、ATPの枯渇、必須代謝経路の広範な調節異常を引き起こし、結果として標的細胞が死に至る。我々の知見は、細菌間の拮抗作用について、これまで報告されていなかった機構を明らかにしており、細菌における代謝物(p)ppAppの生理的役割を実証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度