【地質学】2つの火山島の誕生と成長過程
Nature Communications
2015年5月27日
紅海南部における2つの火山島の誕生と成長過程についての報告が、今週掲載される。この2つの火山島は、2011年と2013年の2回の短期間の爆発性噴火によって形成され、それから数年間の風と海岸浸食の影響を強く受けたことが人工衛星画像によって明らかになった。また、今回の研究は、この地域の火山活動がこれまで考えられていた以上に活発であることを示唆している。
火山島、特に大洋中央海嶺系に沿った火山島の形成過程については十分な解明が行われていない。火山島の誕生が実際に目撃されることが非常に少ないからだ(大洋中央海嶺系は、海洋底の拡大をもたらす大規模な海底山脈のことである)。今回、Wenbin XuとJoel Ruch、Sigurjon Jonssonは、遠隔探査技術を用いて、ズバイル諸島の2つの新しい島が、地底の2つの割れ目を埋めるように上昇してきたマグマ(岩脈)による最初の噴火活動期に急速に成長したことを明らかにした。Xuたちは、新しい島の近隣の島々で観測された地面の変形をモデル化したが、今回の研究で得られた知見は、岩脈の長さが少なくとも10キロメートルであることを示唆しており、2つの火山島の大きさから予想される長さをかなり上回っている。
今回の研究は、ズバイル諸島が、これまで知られていなかった火山活動の活発な地域の一部である可能性を示しており、このことは、この地域でマグマの貫入を通常伴う群発地震活動が起こっていることによって裏付けられている。同じような一連の群発地震活動は過去数十年間記録されていたが、その重要性は注目されていなかった。Xuたちは、この地域が持続的な火成活動の時期にあることが今回の研究結果から示唆されていると考えている。
doi:10.1038/ncomms8104
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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