Nature

Cover Story: 待ちわびた時:超精密な原子核時計の実用化が現実に

Nature 633, 8028 (2024年9月5日)

原子時計は、あるエネルギー準位から別のエネルギー準位への電子の移動を使って時間を計測するものであり、現在の計時の標準となっている。原子核のエネルギー準位間の遷移に基づく原子核時計は、さらに高い精度をもたらすと期待されているが、原子核の量子状態間の遷移を、外部レーザーを用いて正確に調べるのは難しいことが分かっている。これは、機能する原子核時計を作るために必要な重要なステップである。今回C Zhangたちは、この問題を解決し、原子核の遷移と原子時計の遷移の直接的なつながりを示し、原子核時計を作るために必要な構成要素を実証している。彼らはまず、フッ化カルシウム結晶中にトリウム229の原子核を埋め込んだ(表紙画像)。次に、現在最も精密な原子時計に周波数を合わせた特別設計のレーザーから真空紫外光を照射して、この原子核を励起した。その結果、原子核遷移の量子状態が分解され、原子核構造についての知見が得られた。原子核遷移の周波数を原子時計と直接比較することで、正確な基準点が得られ、これによって原子核時計の実用化が現実的なものとなった。

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Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

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著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

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