Nature

Cover Story: 翅で惑わす:チョウは運動錯覚を生み出して、捕食者から逃れるのに役立てている

Nature 658, 8137 (2026年10月22日)

姿を見えなくすることやカムフラージュは、動物が静止時に捕まらないようにするための非常に優れた手段だが、どんな動物もいつかは動かねばならず、そうした運動時に捕食者から逃れるのは静止時よりもはるかに困難である。シマウマの縞模様などは、捕食者を混乱させるのに役立つと長らく示唆されてきたが、これを明確に裏付ける証拠は意外にも乏しい。今週号ではJ Trosciankoたちが、チョウを手掛かりにこの問題に取り組んでいる。研究チームは、チョウの翅の模様と飛翔力学の組み合わせが、チョウが飛翔中に鳥に捕食されるのを避けるのに役立っているかどうか確かめることにした。著者たちは、この問題に複数の角度から取り組んだ。まず、チョウが飛び立つ様子を撮影し、その形状と羽ばたきを捉えたところ、これらが翅模様と組み合わさると見かけの動きが前方ではなく後方と側方へずれることが見いだされた。彼らは次に、系統解析を行い、このような効果がチョウの種に広く見られることを明らかにした。この効果が選択の結果であることを検証するため、翅模様の進化のコンピューターモデルを作成したところ、ヨーロッパのチョウの種に見られるものと似た翅模様が得られた。研究チームはさらに、人々に仮想のチョウの捕獲を試みてもらうことで、自分たちの考えを検証した。その結果、翅模様と飛翔力学の組み合わせで後方への運動錯覚が生み出され、チョウの捕獲が難しくなることが確認された。

今週の目次とハイライト The Nature Top Ten バックナンバー

Nature注目のハイライト

その他のハイライト

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

Nature 創刊150周年記念特集

著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

その他のNature 著者インタビュー

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ネイチャー・リサーチが主催するサイエンスカフェです。グローバルな視点から様々な分野のサイエンスについて、カジュアルな雰囲気の中、一緒に語り合います。

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