【考古学】青銅器時代の若い女性の生涯
Scientific Reports
2015年5月21日
青銅器時代の身分の高いデンマーク人女性(「エグトベドの少女」)の遺体の詳細な分析が行われ、彼女の移動パターン、食事、衣服の入手先に関する情報が得られた。エグトベドの少女は、現在のデンマークの国外で生まれ、その晩年の2年間は遠い距離を往復していたと考えられている。今週掲載される論文で公表されるこの新知見は、青銅器時代の身分の高いヨーロッパ人の移動に関する手掛かりとなるだろう。
エグトベドの少女は推定16~18歳。デンマークのエグトベド村でオーク材の棺から見つかり、埋葬時期は約3,400年前と計算されている。今回、Karin M Freiたちは、保存状態の良好なエグトベドの少女の頭髪、歯、爪と衣服をもとにして、エグトベドの少女の生涯を追跡調査した。歯のエナメル質のストロンチウム同位体比はデンマークの特徴と一致せず、彼女がデンマーク生まれでないことが示された。また、衣服に用いられた羊毛の同位体分析からは、羊毛の産地が現在のデンマークの国外であったことが明らかになった。Freiたちは、エグトベドの少女の出身地とその衣服の原産地が、ドイツ南西部のシュワルツワルト(黒い森)であった可能性を示している。ただし、ヨーロッパの別の地域である可能性は排除されていない。 エグトベドの少女の長さ23センチの頭髪には、少なくとも晩年の23か月間の動きが記録されていた。最も新しい頭髪部分(晩年の4~6か月間に成長した頭髪)と指の爪の同位体比の特徴からは、エグトベドの少女が死亡直前に遠く離れた場所からエグトベドへ移動したことが示唆されている。また、頭髪の分析をさらに進めたところ、陸上でとれるさまざまな食物を摂取していたことや、タンパク質の摂取量が減少した時期が複数回あったことも判明した。
doi:10.1038/srep10431
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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