英国人は「スマート」エネルギーをどう感じているか
Nature Climate Change
2015年4月28日
個人のエネルギー消費量に関するデータを開示することに消極的なことが、消費量を監視し、省エネ行動を支援するための「スマート」技術の実現にとって大きな障害となる可能性が高い、という報告が、今週のオンライン版に掲載される。
エネルギー効率を高め、フレキシブルなエネルギー利用を奨励することは、英国における温室効果ガス排出量を低減するための計画に欠かせない。デマンドサイドマネジメント(DSM)システムは、エネルギー消費量に関する情報を需要側(顧客側)からエネルギー会社に送信するスマートメーターなどの技術を用いている。こうした情報は、エネルギー効率をさらに高める利用方法の開発や実施のために活用される。ところが、英国の消費者がDSMの利点についてどのように感じているのかという点は明らかになっていない。
今回、Alexa Spenceたちは、英国に居住する2,441人を対象としたオンライン意識調査の回答を分析した。非常に多くの回答者(58%)が自分のエネルギー消費量を減らすことに前向きだと答えた一方で、回答者の約20%が自らのエネルギー消費量を外部の人間に知られることに不安を感じると答えた。また、気候変動に懸念を抱く人はDSMを受け入れる確率が高く、エネルギーのコストに懸念を抱く人は数々のDSMシナリオ(例えば、(1) 指定時刻に電子機器のスイッチを切る機能、(2) 洗濯機、冷凍冷蔵庫などの電化製品を最も効率的に利用できる時間帯に関する決定を配電会社が行うこと)を受け入れる確率が低かった。
現在以上に多くの英国民がDSMを受け入れるようになるには、政府が、環境保全上の利点を強調し、エネルギーコストの上昇につながる政策に対する懸念を和らげるべきことが、今回の研究結果から示唆されている。
doi:10.1038/nclimate2610
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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