【化学】グラフェンにおける稀な欠陥を介したプロトン移動
Nature Communications
2015年3月18日
水溶液中のプロトンが稀な原子欠陥を介してグラフェンを透過する機構についての報告が、今週掲載される。この機構の解明は、燃料電池技術のためのプロトン選択性膜の改良に向けた重要な一歩になる可能性がある。
これまでに報告された計算による研究では、室温においてプロトンがグラフェンを透過することはなく、透過させるにはナノスケールの正孔や不純物の導入が必要であるという考え方が示されている。ただし、特定の電圧を印加するとプロトン移動が実現する可能性のあることが最近の実験的研究で明らかになっている。
今回、Franz Geigerたちは、溶融石英の上に単層のグラフェンを置き、そのグラフェンにさまざまなpHの水溶液を流してプロトンの透過があるかどうかを調べた。その結果、グラフェンに自然発生する稀少な原子欠陥があると、単層のグラフェンにおいて、選択的で可逆的なプロトン移動が室温で起こることが判明した。Geigerたちは、そうした原子欠陥が1平方マイクロメートルのグラフェンにわずか数個あるだけで、急速なプロトン移動を発生させるために十分だと推定している。以上の新知見は、燃料電池の効率向上と今よりも薄く選択性の高い膜の開発に向けた重要な第一歩となる可能性がある。ただし、原子欠陥の密度を正確に決定することが、特に大きなスケールのグラフェンにおけるプロトン移動の機構に関する他の仮説を否定するうえで極めて重要なこととなるだろう。
doi:10.1038/ncomms7539
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